2023.5.11
ニンデント本社
CHAPTER2:
手と手をつなぐ
では、前作から「変えたもの」についてお伺いするのですが、
すぐに気づく印象的なものでいうと、
今作のリンクは少し見た目が変わっていますよね。
青 沼
右手ですね。
ぱっと見て、今作のリンクだとわかる特徴が欲しかったんです。
それから、実はこの「手」・・・というか「手と手」が
今作のストーリーの大きなテーマにもなっているんです。
「手と手」? それは、どういうことですか?
藤 林
「ゼルダの伝説」というゲームは、
遊び、システム、ストーリーの要素、
すべてを絡めてひとつのゲームとして構成しています。
今作では、それらをひとつにまとめるものとして 「手と手」をテーマに選びました。
例えば、今回謎を解くときのリンクの能力は すべて手から発するものになっています。 特別な扉を手で開けるなど、ゲームシステム面でも 手を使うシーンを象徴的に入れていますし。
ストーリーについても、 随所で「手」が重要なキーワードとして展開していきます。
今作では、それらをひとつにまとめるものとして 「手と手」をテーマに選びました。
例えば、今回謎を解くときのリンクの能力は すべて手から発するものになっています。 特別な扉を手で開けるなど、ゲームシステム面でも 手を使うシーンを象徴的に入れていますし。
ストーリーについても、 随所で「手」が重要なキーワードとして展開していきます。
堂 田
前作は比較的孤独というか・・・
広い世界の中で自分ひとりの肉体と力を駆使して進めていく、
割とフィジカルな感じのゲームだったんです。
今作はいろんなキャラクターと手を取りあって協力しながら、 時には自分の手でアイテムをつくってそれを活かしながら進んでいく、 というのが特長になっています。
今作はいろんなキャラクターと手を取りあって協力しながら、 時には自分の手でアイテムをつくってそれを活かしながら進んでいく、 というのが特長になっています。
滝 澤
この「手と手」はビジュアルやストーリー演出面でも
強く印象に残るようにつくっていますので
今までに公開したトレーラー映像を見ていただくと、
そんな雰囲気を感じていただけるかもしれません。
若 井
BGMの中にも、ハンドクラップの音を入れたりして
「手」を演出していますよ。
青 沼
まあ、「手と手」というのは一言でいえば、
「つなぐ」ということですよね。
物語としても、今回はハイラル王国の過去にもつながるお話で、 「封印戦争」と呼ばれる、 今までハイラルでは神話でしか語られてこなかった 大きな戦いについて語られます。
物語としても、今回はハイラル王国の過去にもつながるお話で、 「封印戦争」と呼ばれる、 今までハイラルでは神話でしか語られてこなかった 大きな戦いについて語られます。
藤 林
主人公の名前も「リンク」ですしね。
青 沼
あ! なるほど・・・確かにそうだなあ(笑)。
一 同
(笑)。
青 沼
不思議だよね。
ゲームをつくってるときには無意識なんだけど
終わってからいろんなことがつながっていたことに気づくっていう。
「そうかあ、俺たち、そうだったのかあ・・・」ってね。
続編として変えないものの型はある程度決めていて、
その型の中で新しいことをやるというお話ですから、
難易度は高そうです。
青 沼
「型」は決めてるけど、
新しい遊びは、その型を破ってできている。
つまり、「型破り」だね。
滝 澤
「型破り」・・・いいワードが出ました!
青 沼
まあ、なかなか破れない型なんだけどね(笑)。
一 同
(笑)。
滝 澤
逆にサウンドは前作の雰囲気をいい塩梅(あんばい)にひっぱっていて、
同じ世界を冒険してることがちゃんと感じられますよね。
若 井
そうですね。
アイテムをゲットしたときの音とか、謎解き正解音とか、
シグネチャー(特長)として前作から引き継ごう
という意図はありました。
青 沼
型破りって、何でもかんでも
ぶち壊したらいいってわけじゃないんだよね。
やっぱり土台となる型があるから、
安心してほかを無茶できるっていう。
どんなにほかが変わっていても、
音を聞けば「ほら、やっぱりゼルダだ!」って思えるということですね。
青 沼
それで思い出したんですけど、
開発中は何度も「既視感」って言葉が出ていましたね。
違うものをつくっているはずなんだけど、 印象として前作と似ているように感じてしまう。 でも開発が進んで、いろんな新しい要素が加わることによって、 ゲーム全体を見渡したときにそれが化けてくるようなことがあるんです。 それまでは「変えなきゃ」と焦ったりしていたことが、 気づくと「そうあるべきもの」に変わっている。
違うものをつくっているはずなんだけど、 印象として前作と似ているように感じてしまう。 でも開発が進んで、いろんな新しい要素が加わることによって、 ゲーム全体を見渡したときにそれが化けてくるようなことがあるんです。 それまでは「変えなきゃ」と焦ったりしていたことが、 気づくと「そうあるべきもの」に変わっている。
その「既視感」を消すために変えていくものと、
「そうあるべきもの」と考えて変えないものの違いは、
開発チームのみなさんで早めに共通認識が取れていたんですか?
藤 林
いやいや・・・
結構、終盤までその違いには悩むことが多かったですね。
我々や現場スタッフの中でうんうんと悩み続けて、 最終的に全員が一致するところまで落とし込む、 という作業の連続で。
我々や現場スタッフの中でうんうんと悩み続けて、 最終的に全員が一致するところまで落とし込む、 という作業の連続で。
滝 澤
とくに開発初期は、
どうしても既視感を強く覚えがちで、
「できるだけ印象を変えよう」というのを
最優先課題として頑張るわけなんですが、
ある程度進んだところで、ふと、
「逆に変えてしまうと魅力がなくなるんじゃないか?」
という箇所が見えてくる。
藤林
そういう変えない部分は「大いなるマンネリ」って呼んで
肯定するようにもなりましたよね(笑)。
滝 澤
終盤でやっとこの「大いなるマンネリ」の意義がしっかり見えてきて、
スタッフから「ここに既視感があって・・・」と相談されても
「ここはあえて変えないでおいてほしい」と
頼みやすくなりました。
全体的にそろっていなかった共通の価値観みたいなものが、
試行錯誤を繰り返すことで、どこかでバチッとそろってくる、
みたいな感じですね。
青 沼
ゲームづくりって、いつもそうなんですよね。
いろんなもののピースがそろって、それがハマったときに
「これでいいか・・・」から「これじゃなきゃ!」に変わる瞬間があるんです。
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