2023.5.11
ニンデント本社
CHAPTER3:
空までひとつながりの世界
『ティアーズ オブ ザ キングダム』を開発する中での苦労と経緯は
よくわかりました。
ただ、フィールドは同じということですが、実際は空にも行けますし、
今作のフィールドは大きく広がっているんですよね?
藤 林
空や洞窟などが、それにあたりますね。
前作まではいろんな理由から
実現できていなかった場所でもあります。
堂 田
実は前作『ブレス オブ ザ ワイルド』は、
もともとWii Uでつくっていたのもあって、
開発上の制約が今よりも厳しかったんです。
なので、開発中にいろいろとやりたいことは出てきたんですが 前作では「やらないこと」を明確にしていました。 「このタイトルは空を飛ばないゲームにしないとだめだよね」 とか・・・。
そしたら青沼さんは、 「空が飛べないなら穴を掘りたい!」ってずっと言ってましたけど。 それも、当時は「いや~、穴を掘るのも勘弁してください~」って(笑)。
なので、開発中にいろいろとやりたいことは出てきたんですが 前作では「やらないこと」を明確にしていました。 「このタイトルは空を飛ばないゲームにしないとだめだよね」 とか・・・。
そしたら青沼さんは、 「空が飛べないなら穴を掘りたい!」ってずっと言ってましたけど。 それも、当時は「いや~、穴を掘るのも勘弁してください~」って(笑)。
青 沼
前作を遊んでいるとね、欲求として自然に出るのよ。
ここに穴、掘りたいな~って(笑)。
一 同
(笑)。
堂 田
今作では、そういう取りこぼしを集めて
実現するところから始めました。
まったく新しいフィールドをつくっていたら
前作と同じように実現できていなかったでしょうし、
そういう意味でも、やはり同じフィールドでつくる
ということの意味は大きかったですね。
滝 澤
崖にある「洞窟」の入り口はわかりやすい例かもしれないです。
堂 田
前作では崖はただ登ることしかできなくて、
その側面には何もなかったですもんね。
滝 澤
今作で崖の側面に「洞窟」を発見した人は、
「あっちの崖のどこかにも洞窟があるんじゃないか?」って
気になり始めると思うんです。
知っている場所でも、その場所に新しい価値がひとつ加わると、 世界の見え方が変わるんですよね。
開発者としての視点でも 開発中に見えてくる風景が変わりましたし、 きっとプレイヤーのみなさんも ハイラルの歩き方が変わると思いますよ。
知っている場所でも、その場所に新しい価値がひとつ加わると、 世界の見え方が変わるんですよね。
開発者としての視点でも 開発中に見えてくる風景が変わりましたし、 きっとプレイヤーのみなさんも ハイラルの歩き方が変わると思いますよ。
なるほど。確かに一つのヒントで連鎖するように
いろんな場所の見え方が変わってくるのがゼルダですよね。
では、空についてはいかがでしょうか。
藤 林
前作では、壁があって高さがあるといっても、
僕は大きな意味では平面的な遊びだと思っていました。
なので、今作では“縦”すなわち、高さを活かした遊びを 取り入れようとして、地上から空までひとつながりで 移動できることを前提に、より立体的なフィールドをつくりました。
リンクも新しいアクションとしてダイビングできますし、 空用の服なども新規で追加されています。
なので、今作では“縦”すなわち、高さを活かした遊びを 取り入れようとして、地上から空までひとつながりで 移動できることを前提に、より立体的なフィールドをつくりました。
リンクも新しいアクションとしてダイビングできますし、 空用の服なども新規で追加されています。
空にも島が浮いていて、どうやったらあそこに到達できるんだろうと、
考えるのも楽しそうです。
藤 林
空島は移動のアクションも、探索も楽しいですよ。
あんまり新しいアクションや空のフィールドが新鮮だったので やりたい遊びをいろいろ検証しようとして、 空島がどんどん増えてしまって。
そしたらある日、デザイナーから怒られました。 島を置きすぎて空が汚いって(笑)。
あんまり新しいアクションや空のフィールドが新鮮だったので やりたい遊びをいろいろ検証しようとして、 空島がどんどん増えてしまって。
そしたらある日、デザイナーから怒られました。 島を置きすぎて空が汚いって(笑)。
滝 澤
ゴミゴミしてましたねえ・・・(笑)。
青 沼
実寸で空に島を浮かべるとね、
「あれ、空島って見上げるとこんなに小さくなっちゃうの?」って
びっくりしましたね。
堂 田
すべてのシーンを継ぎ目なくシームレスにつなぐ、
というのを前作から徹底していたんです。
だから、家なんかも実寸でつくっていて、家の中に入ってもマップ切り替えがなく、
窓からさっきまでいた風景が見えるようになっている。
そんなウソのないつくりになっているんです。
でも実寸でシームレスにつながる空に 飛び石のように浮かぶ遊び場を増やしたら、 地上から見るとあまりに小さすぎて ゴミが浮いているようにしか見えなかったですね(笑)。 最終的にはデザイナーがうまく見た目を調整してくれましたけど。
でも実寸でシームレスにつながる空に 飛び石のように浮かぶ遊び場を増やしたら、 地上から見るとあまりに小さすぎて ゴミが浮いているようにしか見えなかったですね(笑)。 最終的にはデザイナーがうまく見た目を調整してくれましたけど。
若 井
空と地上がシームレスにつながるというのは、
サウンド面でも苦労したんですよ。
堂田
ああ、よくプログラマーがサウンドのスタッフに
「空と地上の境界線を教えてくれ」って
詰め寄られていましたね。
若 井
サウンドはシームレスにつながっているのですが、
とくにBGMはシチュエーションの変化に合わせて切り替える必要があるんで、
どこから切り替わるかのトリガーをつくらないといけないんで・・・
堂 田
「どこからが空?」なんて、
これまで考えたことなかったので悩みましたね(笑)。
一 同
(笑)。
若 井
あと、どんな音が「空の音」としてしっくりくるのか、
というのも難しかったです。
滝 澤
みんな、空って飛行機の中から見える景色しか見たことないですから。
若 井
そうそう。
「空を飛ぶ音」ならまだしも、「空にある島の音」って(笑)。
青 沼
空にある島なんて、誰も行ったことないもんね。
そういえば空の話ばかりしましたが、今作にもダンジョンはあるんですよね?
藤 林
ダンジョンについては、初めてお話ししますが
前作から変わって、今作ならではのものが登場します。
例えばフィールドから地続きにつながっているダンジョン。
空からダイビングで急降下して
そのままダンジョンに突入してイベントが発生したり、
前作にはなかった新しい感覚を味わっていただけると思います。
堂 田
その土地にあったユニークなダンジョンを用意しているので
バリエーション豊かなご当地感を楽しんでいただけると思います。
滝 澤
その「バリエーション豊か」ってのが、
なかなかに手強かったですね。
前作はある程度デザインが共通している 四体の「神獣」がダンジョンになっていたのですが、 今作では、従来の「ゼルダの伝説」のように 地域ごとに雰囲気の異なるデカいダンジョンがあるので。
やりごたえもガッツリあると思いますが、 つくりごたえも同じようにガッツリ(笑)。
前作はある程度デザインが共通している 四体の「神獣」がダンジョンになっていたのですが、 今作では、従来の「ゼルダの伝説」のように 地域ごとに雰囲気の異なるデカいダンジョンがあるので。
やりごたえもガッツリあると思いますが、 つくりごたえも同じようにガッツリ(笑)。
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