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2023.5.11

ニンデント本社

CHAPTER5:

できるかな?がちゃんとできる

プレイヤーごとに違う体験が生まれるということで、 逆にこれだけ自由度があると、 開発者の意図に反した能力の使われ方もあるように思うのですが、 そういった心配はないのでしょうか?

藤 林

そこはあまり心配はしていません。 システム的にはプログラマーが大丈夫なようにつくってくれていますし、 もともとプレイヤーが「これ、できるかな?」と思いついたものを 実験のように自由につくっていただく遊びですから、 むしろ僕たちが想定外の遊びがお客さまの手から生まれて 「すげぇな、コレ!」って、驚きたいと思っています。

堂 田

前作からそうですけど、「お客さまにどう遊んでほしいか」より、 「お客さまが“できるかな?”と試したことがちゃんとできるか」を大事にしています。

藤 林

「こう遊んでほしい」を定義すると、 ゲームがどんどん一本道になってしまうので・・・。

以前、動かない木箱が積んである場所があったのですが、 「持てなかったら絶対ガッカリするから」と、 持てるようにしてもらったことがありました。

その後、絶対動かしたくないものであれば デザイナーが、ロープを張ったり、上から布で覆ったりといった表現で 「これは動かせませんよ」という記号になるように工夫してくれました。 そういうところのこだわりのほうが多いかもしれないですね。

堂 田

壊せないツボの上には絶対フタがしてあります(笑)。 ゲームって、遊んでいくうちに 脳が処理していくスピードが上がっていくので、 ある程度進んでいくと脳が勝手に仕分けていくんです。 「これは敵」「これは触っちゃマズイもの」「これは取るもの」って。

そういう、プレイヤーが見て判断するいろいろな要素は デザイナーがしっかり法則や記号化をしていってくれたので、 いちいち説明がなくても感覚でわかりやすいものになっていると思います。

お客さまが「できるかな?」と思ったことがちゃんとできるか、 という観点で言うと、 前作でもさまざまな遊び方をされているお客さまがいらっしゃいました。 そうしたお客さまのプレイ動向などはご覧になっているのでしょうか?

青 沼

開発者の間では話題には上がっていましたね。 今作の「なんでもできる」っていう方向性って、 まさにそうやって前作を遊んでくれている お客さまの反応があったからこそなので。

滝 澤

前作の発売から6年経ってもまだまだコメントや動画などを SNSなどに投稿してくださる方がたくさんいらっしゃって。 開発で苦しいときほど、 そういうのを見たスタッフの目が輝くんですよね。 「面白いもん、つくったるで!」って。 感謝を伝えたいです。

藤 林

ほんとそうですよね。 今作でもすごくモチベーションになりました。感謝です!

一 同

(大きくうなずく)

青 沼

「ゼルダ」は「この謎を解いたのは、自分だけだろ!」 って思えるのがいい、と言ってくださる方がいて。

単に「この謎に答えてくださいね」って我々が用意した謎解きを 我々が用意した解法で解いてもらうよりも、 プレイヤーごとにオリジナルの解法で解いてもらった方が、 もっと強い「自分だけ感」を 味わってもらえるんじゃないかと思うんです。

そこはある意味「ゼルダの伝説」シリーズ特有のものなので、 今作でもより強く出せているところじゃないかと思います。

ありがとうございます。今作だけでなく、 「ゼルダの伝説」シリーズの開発に関わる強い思いが伝わってきた気がします。 それでは最後になりますが、今作で特に注目していただきたいことや、 こだわったところがあれば、それぞれ教えていただけますか。

若 井

今作は音の距離感ひとつとっても、 近い音が離れていくにつれ、どんどんその音にボヤッと残響が出て、 ほかの環境音に消えていく・・・ そういった表現がとてもリアルにできたと思います。 前作からずっとサラウンド環境で開発していましたが、 この表現についてはヘッドホンでも、ステレオスピーカーでも、 同じ体験ができると思います。 ぜひ、そういった部分を気にしていただけると嬉しいです。

開発スタッフの中でも、 「海のそばでじっとしてるだけで心が休まる。ずっと聴いていたい・・・」 と言っている人もいます(笑)。 そういう音を聴く楽しみ方も、試してみていただければと思います。

滝 澤

今作で新たに登場する文明など、 中核をなすようなもののデザインやアートは、 前作の縄文時代的なモチーフからは一新していますが、 引き続き日本古来の神秘的な和の雰囲気を醸し出しつつ、 誰もがあまり見たことのないスピリチュアルなイメージをつくるよう デザイナー一同、注力しました。 そんな凛(りん)とした空気感の中で、 新たな異世界での冒険をじっくり楽しんでほしいです。

それから、前作からしばらく後の 懐かしくも様子の変わったハイラルと、広がった新しい世界、 敵味方含めた新たなキャラクターたちの活躍はもちろん、 お馴染みのキャラクターたちの変化や成長もお楽しみに。 「手と手」にまつわる様々なモノたちとの交流をぜひ楽しんでください。

堂 田

前作もそうだったんですけど、 今作でも「よーいドン」で遊び始めた人同士があとで会話したとき、 途中から話がかみ合わなくなる・・・というのが 一番いい遊ばれ方だと思っています。

それぞれ同じゲームを楽しんでいるはずなのに ルートも違うし、やり方もバラバラだし、 「どこまでやった?」って聞いたら お互い相手の遊んでいる内容について初めて知る、みたいな。 「えっ、そんなものがあるんだ!」「そんな場所もあるんだ!」 って会話が、今作でもやっぱりあってほしいなと思います。

藤 林

今作の開発当初、前作に対して 「記憶をリセットしてもう一度遊びたい」というコメントを いただいていました。 ゲームが始まって世界がワッと広がるときの感覚や、 いよいよ本格的な冒険へ旅立つぞという瞬間、 強大な敵との対決、そしてエンディングを迎えたときの感動。

『ティアーズ オブ ザ キングダム』でも、 それを前作同様か、それ以上に味わっていただけるように頑張りました。 きっと、「あの感覚をまた味わえたよ!」と 言ってもらえるのではないかと思いますので、どうぞご期待ください。

では、最後に青沼さん、お願いします。

青 沼

・・・僕は今回、デバッグで何回遊んだろう? 20回ぐらいは、最初からクリアまで通して遊んでいますけど、 前作よりさらに「寄り道をしたほうがおもしろいゲーム」になっています。

どうしてもデバッグや検証では、 先を急いでクリアを目指さなければならないことがあるんですけど、 あとから寄り道して遊ぶようにしたら・・・全然遊びごたえが違う!(笑) 「この時点でこんなことができたんだ!」って発見があったりして。

モノをくっつける遊びも、 本当に毎度いろんな組み合わせが発見できて、 僕でさえ全部を把握できていないくらい。 この間の体験プレイ映像を撮影している中でも、 まだ新しい発見があったくらいです。

だから、時間はかかるかもしれないですけど、 脇道にそれて、そのときにできることを試してもらえたら、 自分なりの遊び方ができると思います。 ぜひ、まっすぐゴールを目指さないで!(笑)

僕自身、何度もクリアしましたけど、 一回も退屈だと思ったことはないです。 それはもう保証つきです!

さらに広がったハイラルの大地で、 いろいろな新しい発見ができるのが楽しみですね。 ありがとうございました。

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