2023.5.11
ニンデント本社
CHAPTER4:
そういうところが「ゼルダっぽい」
続編でありながら、さまざまな新しいものが詰まっているということで、
前作では「ゼルダのアタリマエを見直す」というテーマでしたが、
今作では「続編のアタリマエを見直す」になっているように感じました。
堂 田
そうですね、話していて気づいたんですけど、
もし、全然違うフィールドでゼロからつくっていたら、
マップが違うだけで前作と同じような遊び心地のゲームが
できてしまっていたかもしれません。
藤 林
たしかにそのとおりで、
僕らはよく「掛け算でゲームをつくろう」と言っています。
例えば「主人公の能力」と「多彩なフィールド」を掛け合わせると
「人によって毎回違う体験」が生まれるだろう、という考え方です。
「毎回違う体験」は続編でも絶対に変えたくない、
「多彩なフィールド」も変えない、となると
おのずと「主人公の能力」を変えて新しくしよう、ということになります。
だから今回は、リンクの能力を完全に刷新しました。
たしかに、先日の青沼さんのプレイ映像で紹介されていた
リンクの能力は、前作とは違うまったく新しいものでした。
ただ、「完全に刷新」ということは、
ひょっとして全部異なっていたりするのでしょうか?
青 沼
すべて一新されています。
前と同じと思ったら大間違いですよ(笑)。
中でも特に今作の特長のひとつである モノとモノを「つなげる」遊びは、開発の初期に 藤林さんが「続編でやりたい遊びはこれです!」といって 持ち込んできたものです。
中でも特に今作の特長のひとつである モノとモノを「つなげる」遊びは、開発の初期に 藤林さんが「続編でやりたい遊びはこれです!」といって 持ち込んできたものです。
藤 林
あのときは、前作の仕組みとパーツだけで
「乗り物」を試作してプレゼンしましたね。
回転する4つの歯車をタイヤに見立てて板につけて車をつくったり、 その自動で回る歯車に板をくっつけて外輪船にしたり。 あとは、石板を組み合わせて筒にして、 リモコンバクダンを使って古代球を飛ばせる大砲をつくって、 車と合わせて戦車にしたりもしました(笑)。
そうやって、もしリンクに「つなげる能力」があったら、 今ある材料だけでもこんな新しい遊びができますよ、って 提案したのが、 今作の「ウルトラハンドで乗り物をつくる」の始まりでしたね。
回転する4つの歯車をタイヤに見立てて板につけて車をつくったり、 その自動で回る歯車に板をくっつけて外輪船にしたり。 あとは、石板を組み合わせて筒にして、 リモコンバクダンを使って古代球を飛ばせる大砲をつくって、 車と合わせて戦車にしたりもしました(笑)。
そうやって、もしリンクに「つなげる能力」があったら、 今ある材料だけでもこんな新しい遊びができますよ、って 提案したのが、 今作の「ウルトラハンドで乗り物をつくる」の始まりでしたね。
なるほど、「モノを組み合わせて何かをつくる」
というアイデアは開発の最初からあったのですね。
青沼さんのプレイ動画を見ていても、
「こう組み合わせたらこんなことができる」というのが、
とても直感的でわかりやすかったです。
堂 田
モノとモノの組み合わせは、パターンの量も多いので
デザイナーやプログラマーたちが
調整にすごく力をいれた部分ですね。
お客さまには、ぜひいろいろと試してもらって、
お気に入りの組み合わせを見つけてほしいです。
滝 澤
モノをくっつける「ウルトラハンド」だけでなく、
武器をつくる「スクラビルド」も含めて、
組み合わせの種類自体はホントにすごい量で。
担当スタッフたちはお客さまに 「こうなると思ったのに、ならないじゃん・・・」と ガッカリさせることがないように、 アイテム個別に専用の調整をいれて、がんばりました。
おかげでスクラビルドでつくれる魅力的な武器も たくさん生まれました。 例えば「死神の大鎌」みたいな槍がつくれたりしますよ。
担当スタッフたちはお客さまに 「こうなると思ったのに、ならないじゃん・・・」と ガッカリさせることがないように、 アイテム個別に専用の調整をいれて、がんばりました。
おかげでスクラビルドでつくれる魅力的な武器も たくさん生まれました。 例えば「死神の大鎌」みたいな槍がつくれたりしますよ。
青 沼
でも、くっついたモノ同士のところを見ると、
接着剤みたいなのがハミ出てたでしょ?
最初は「え!? この見た目でホントにいくの!?」
って、驚きました(笑)。
滝 澤
なんか今、若干怒られたような気がしたんですけど・・・!?
いや、でもくっついているのか、くっついていないのか、
一番わかりやすい表現って、たぶんアレですよ。
自信あります(笑)。
若 井
その接着剤風の表現、音をつける側としても
現実にあるイメージしやすいものに落としこんでくれたな、と
とてもありがたかったです(笑)。
「ゼルダ」って、実際にはない抽象的な音よりも、 現実世界に即した手触り感や手ごたえ感のある、 いわば「泥臭い」印象の音のほうが合うことが多いんです。
今作でもゲーム中で何度もくっつけて、外して、 というのを繰り返すので 「あ、今、くっつけられる状態になった!」って、 機能的にうまく伝える必要がありました。
だから、「くっつく音」はモノにかかわらず、常に同じ音が鳴ります。 何度も聞く音なので、純粋にその作業が楽しいと思えるような 手ごたえ感を出すのがキモだと思っていました。
「ゼルダ」って、実際にはない抽象的な音よりも、 現実世界に即した手触り感や手ごたえ感のある、 いわば「泥臭い」印象の音のほうが合うことが多いんです。
今作でもゲーム中で何度もくっつけて、外して、 というのを繰り返すので 「あ、今、くっつけられる状態になった!」って、 機能的にうまく伝える必要がありました。
だから、「くっつく音」はモノにかかわらず、常に同じ音が鳴ります。 何度も聞く音なので、純粋にその作業が楽しいと思えるような 手ごたえ感を出すのがキモだと思っていました。
藤 林
そうやって見た目が決まって、効果音がつくと、
モノとモノがくっつく瞬間の手ごたえが出て
すごく気持ちよくなりましたよね。
青 沼
そう、なんだかんだで、
最後には気持ちよく感じるんだよね。
堂 田
もともとこの遊びは、何かをしっかりつくるというより、
もっとシンプルに「モノとモノをくっつける」ということを
楽しんでもらうのを実現したいと思っていました。
「丸太にタイヤをくっつけたら、前に進んだ!
ちょっとカッコ悪いけどOK!」みたいな。
そういう意味で、接着剤は 「くっつける遊び」の象徴にもなっていると思います。 適当にくっつけても、 何だかいい感じの手づくり感を醸(かも)し出してくれますし(笑)。
そういう意味で、接着剤は 「くっつける遊び」の象徴にもなっていると思います。 適当にくっつけても、 何だかいい感じの手づくり感を醸(かも)し出してくれますし(笑)。
青 沼
そう、だから、モノをつくるのが不得意な方でも全然心配はいりません。
単純に「長いものを2つ繋いだらもっと長くなった!」
っていう遊びなので。
ちょっと見た目が不格好かもしれないけど、 「接着剤でくっついてるから」って、 理屈がストレートにわかる(笑)。 そういうところが「ゼルダっぽい」し、気に入っています。
ちょっと見た目が不格好かもしれないけど、 「接着剤でくっついてるから」って、 理屈がストレートにわかる(笑)。 そういうところが「ゼルダっぽい」し、気に入っています。
滝 澤
でも青沼さん、そのわりには
プレイ映像でしっかりしたイカダをつくってましたよね。
ちょっと形状を小粋にアレンジしたりして・・・(笑)。
あの場所は、ゲームの序盤で通るところですけど、 別にそこまでしなくても渡れるし、 なんならイカダをつくらなくても渡れますよ。
あの場所は、ゲームの序盤で通るところですけど、 別にそこまでしなくても渡れるし、 なんならイカダをつくらなくても渡れますよ。
青 沼
いやー、そこはさ、ゲームの特長をお伝えする映像だし・・・
お客さまにわかりやすいプレイをしないとって(笑)。
それに、せっかくだから
自分でつくったイカダで渡りたいでしょ!?
一 同
(笑)。
滝 澤
確かに開発スタッフのテストプレイを見ていても、
すごく凝ったものをつくる人もいれば
必要最小限の部品しか使わない効率重視な人もいて、
それぞれの性格が出ていて面白いところでもありますね。
青 沼
特にデザイナーは凝ったものをつくる傾向があるよね(笑)。
堂 田
「くっつける」というのを遊びの真ん中に置いたことで、
つくり込みたい人たちにも、最小限の目的だけ達成したい人たちにも、
どちらにも応えられる仕組みになったと思います。
藤 林
その辺のバランスは、かなり気をつかいました。
とことん凝ったものをつくるという楽しみがありながら、
どんどん先に進めたい人は、あまり難しく考えなくてもよいというのは、
それぞれにあったプレイができてありがたいですね。
堂 田
それから、機能面でいうと、
前作でやらなかったことのひとつに
「魔法」があるんですね。
前作には「がんばりゲージ」というフィジカルゲージはあっても 「マジックゲージ」に相当するものがなかったので 今作はその要素をぜひ入れたいと、もうひとつ追加した特殊能力が、 「魔法」こと「ゾナウギア」です。
青沼さんのプレイ映像でもご覧いただけるんですけど、 「ゾナウギア」を使うと風を起こしたり、物を動かしたりできる。 この力を使うことで、例えば「全方位火炎放射器」みたいな デタラメなものもつくれたり。 いい意味でズルできる場面もたくさん用意しています。
前作には「がんばりゲージ」というフィジカルゲージはあっても 「マジックゲージ」に相当するものがなかったので 今作はその要素をぜひ入れたいと、もうひとつ追加した特殊能力が、 「魔法」こと「ゾナウギア」です。
青沼さんのプレイ映像でもご覧いただけるんですけど、 「ゾナウギア」を使うと風を起こしたり、物を動かしたりできる。 この力を使うことで、例えば「全方位火炎放射器」みたいな デタラメなものもつくれたり。 いい意味でズルできる場面もたくさん用意しています。
青 沼
でも、魔法のゲージとか言いながら、
見た目は乾電池なんだよね(笑)。
一 同
(笑)。
滝 澤
今作は、前作のシーカー文明が持つ超古代の「技術」ではなく、
未知の文明が持つ「スピリチュアルなパワー」を使うというのが
最初のコンセプトとしてあったので、
魔法のような「便利グッズ」をたくさんつくろう、と。
ただ実際、「スピリチュアルなアイテム」といっても、 それ自体が何なのかわからないと、 使ってすらもらえないですよね。 なので結局、「これは“魔法”なんですよ」 って言ってできたものが・・・ まあ、扇風機です。
ただ実際、「スピリチュアルなアイテム」といっても、 それ自体が何なのかわからないと、 使ってすらもらえないですよね。 なので結局、「これは“魔法”なんですよ」 って言ってできたものが・・・ まあ、扇風機です。
一 同
(笑)。
滝 澤
見た目のわかりやすさはやっぱり大事ということで、
結局、デザイナーはさまざまな「家電製品」をつくることに(笑)。
それをいかに『ブレス オブ ザ ワイルド』の世界で スピリチュアルっぽいものとして見せるか、 これがまた・・・なかなかの難題でした。 デザイナーとしては腕の見せどころではあるわけですが(笑)。
それをいかに『ブレス オブ ザ ワイルド』の世界で スピリチュアルっぽいものとして見せるか、 これがまた・・・なかなかの難題でした。 デザイナーとしては腕の見せどころではあるわけですが(笑)。
青 沼
プレイヤーが実生活で全然見たこともないものを見せられても、
まったく使い方がわからないんですよね。
なので、あえて日常にあるような見た目にすると、
きっとこう使うんじゃないかというのが直感的にわかる。
それを「ゼルダ」の世界に「魔法」があったら・・・
という形に落とし込むと案外しっくりきたわけです。
「くっつける遊び」や「魔法」も、ゼルダなりの少しコミカルな表現で
直感的にわかりやすくプレイできる工夫がしっかり盛り込まれて
いるんですね。
「開発者に訊きました」一覧